電気自動車の機能と構造


■EV(電気自動車)の機能と構造

 

 

●モーター

☆AC(交流)誘導モーター
 電池の直流電気を交流に替え、2個の電磁石のコイルに流す電気の波を同期させて
回転軸を回す。低速でのパワーが出ないので、ギアチェンジが必要となる。
 ※FEV、セドリックEV、IMPACT等が採用

 

☆ブラシレスDC(直流)モーター
 希土類磁石を使用する。タイヤを直接回すアウター・モーターである、ホイール・
モーターはこのタイプにあたる。
 ※IZA、MYLD、ホンダCUV・ES、R&D ES600等が採用

 

●電池

☆密閉型・鉛電池
 長所;量産した場合に安価である。密閉型のため補水の必要がない
 短所;改良は進められてきたが、重さ当たりの電気容量が少ない

 

☆密閉型・ニッケル=カドミウム電池
 長所;電気容量が鉛電池の1.2〜1.8倍ほどある。放電中の電圧が一定のレベ
    ルに保たれる。
 短所;コストが高い。電池の残存容量がわからず、突然バッテリーが切れる可能性
    がある。耐高温性が弱く、放電すると発熱する(発熱すると充電されにくく なる)。
    有毒物質であるカドミウムの処理が難しい。

 

☆ニッケル=亜鉛電池
 長所;同じ電気容量で鉛電池の半分の大きさ・重さ。一回の充電で同じ重さの鉛電
    池の2倍の距離を走ることができる。
 短所;コストが高い。電池寿命が短い。

 

☆ニッケル=鉄電池
 長所;電池寿命が長い。電気容量が大きい。充電のしすぎ、放電のしすぎに強い。
    電池材料が低公害物質である。
 短所;コストが高い。充電効率・放電効率が悪い。密閉化ができずメンテナンスが
    難しい。
 ※クライスラー・TEバンに採用

 

☆ニッケル=水素電池
 長所;電池寿命が長い。電気容量が大きい。
 短所;高温になると自己放電率が高くなる。

 

☆ナトリウム=硫黄電池
 長所;自己放電がないため放っておいても電気がなくならず、充電した電気容量を
    100%使える。メンテナンス・フリー。電池の残存容量の把握が容易である。
 短所;350度近い高温で作動する。充電のしすぎ、放電のしすぎに弱い
 ※ドイツを中心とするヨーロッパで盛んに開発が進められてきた。

 

☆常温型・リチウム電池
 長所;電気容量が鉛電池の4倍近い。常温で作動する。軽く、エネルギー密度が高い。
 短所;寿命が短い。充電のしすぎ、放電のしすぎに弱い。可燃性の有機電解液を使
    用しているため危険である。

 

☆石油燃料電池
 長所;酸素と燃料を補給し続ける限り発電を続ける。燃料に石油を使用するため、
    サービス・ステーションなど旧来のインフラストラクチャーを流用できる。
 短所;石油利用のため長期的な将来性がない。運用温度が300〜1000度と高
    温になる。

 

☆太陽電池+蓄電池
 長所;太陽光がある限り、燃料費無料で稼働する。
 短所;曇天・夜など日光のないときの稼働が不安定になる。出力がごく低い。
 ※2018年の太陽電池の発電効率は30〜40%と、30年前の1.5〜2倍程
  度。耐紫外線強度も上がってはきているが、これも現在の2〜3倍程度に留まる。
  日光の差していないときは晴天時に蓄電池に蓄えた電気で走るため、太陽電池は
  その他の二次電池(蓄電池)と組み合わせて使われることが多い。

   

※参考資料
『電気自動車の時代』読売新聞社/1991年刊
『三宅総合研究所・最新技術レポート2018』サイエンス社/2018年刊